大判例

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福岡高等裁判所 昭和54年(ネ)107号・昭54年(ネ)202号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

5 過失相殺について

<証拠>によると、一審原告信二、池本秀夫、池本義秋の三名は、本件事故前、池本秀夫の運転する池本車で現場近くの旅館「有明荘別館」に赴き、前庭に駐車して同旅館で飲酒したのち、同車で帰ろうとしたが、バッテリーが放電状態でエンジンが始動しなかつたので、そのような場合自動車を道路上に移動するようなことはせずに充電する方法をとるか、運転を断念すべきであるのに、ミッションギヤを入れたまま人力で自動車を押して走らせること(いわゆる「押しかけ」)によつてエンジンを始動させようとして、池本秀夫が運転席に座つてハンドルを操作し、一審原告信二と池本義秋が同車の後部を左右から押して、幅8.7メートルの国道二〇八号線に出、左側車線の中央寄りを、暗やみの中で後尾灯はもちろん、信号灯も点灯しないまま、数十メートル進行している時に後方から進行してきた志水車に衝突されたこと、一方一審被告志水は右見通しのよい国道を時速約六〇キロメートルで進行中、対向車に気をとられて前方注視がおろそかになり、かつ対向車の前照灯に眩惑され、一時前方注視ができない状態に陥つたのに、徐行ないし一時停車して視力の回復を待たないで、そのままの速度で進行したため、前方約二七メートルの地点に一審原告信二らを発見して急停車の措置をとつたが及ばず、同一審原告らに衝突させたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

右認定の事実によると、一審原告信二の行為が極めて危険な行為であることは否定できないが、一審被告志水も自動車運転者として基本的な注意義務を怠つており、その他右認定の本件事故の態様に徴すると、一審原告信二の損害額についてする過失相殺の割合は三割とするのが相当である。

(美山和義 前川鉄郎 川畑耕平)

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